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[大阪第3回]Hybrid ERその1

現在勤務している大阪急性期・総合医療センター、救命救急センターには世界に先駆けて導入されたHybrid ERというものがあります。今回はその紹介をしたいと思います。

Hybrid ER

Hybrid ERとは、搬入されてきた患者の必要な「検査」と「治療」が1つの部屋で行えるようにガントリ自走式CT、血管造影装置、モニター、エコー、人工呼吸器が備えられた初療室のことを言います。
つまり、初療室で初期診察を行った後に、CTを取りに行くためにエレベーターに乗り、冬場は非常に寒い廊下を移動し、CT室でベッド移動を行ない、検査が終わったら来た道を戻り、その後手術室や血管造影室に移動するという工程が必要ないのです。
救命救急センターには、外傷症例を始め、敗血症、中毒、熱傷といった様々な患者さんが日夜運ばれてきます。特に重症外傷症例において、循環動態が不安な状態ではCTまでの移動のリスクが非常に大きいことや、治療開始までに時間を要してしまうことがあります。Hybrid ERではそういったリスクが軽減され、早期に治療が開始できるというメリットがあります。患者にとってはもちろんですが、医療者にとってもとても良い治療環境ですよね。実際にHybrid ERで外傷診療をしてみて、止血治療開始までの時間がとても短く、輸血量が少なくできる印象を受けました。
症例にもよりますが、CT撮影までの時間をなるべく短くして、TAEなどの止血術開始までを搬入から約30分で開始するために診療をしています。重症頭部外傷+骨盤骨折の患者が搬入されてきた時には、頭もとで穿頭血腫除去術+ICP留置を行ないながら、体幹部では後腹膜ガーゼパッキングを施行後に、血管造影装置を使いながらTAEを施行する症例も経験しました。大きな止血処置終了まで1時間程度と本当に早く止血処置が終わっていました。

これだけの早い処置ができるのは医者の人数や技量だけでなく、初療看護師の人数がかなり多く、重症外傷であれば休日・夜間問わず最大看護師4人まで初療を担当してくれます。施設だけでなく、看護師の人数の違いは北大での外傷診療との大きな違いだと感じました。

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