出発まで
救急医を目指し北大救急の門を叩いてから1年半経った昨年(2016年)の夏頃、来年度どう学ぶのか考え始めました。重症症例の初療対応から集中治療をまだまだ学びたいという気持ちもありましたが、一方で色々な施設での治療や考え方を経験したいという気持ちもあったため国内留学を考え始めました。
医局人事といえばいわゆる関連病院への強制的な異動が想像されやすいですが「学びたいところへどこに行っても良いよ」と懐の深い北大救急。自分がもっと学びたいことは何だろうと考えたところ、Dr.ヘリ/Dr.カーのプレホスピタルと集中治療、それにスキューバダイビングかな、と思い、美ら海の沖縄がまず浮かびました。ちょうど上司につながりのあった浦添総合病院 救命救急センターを紹介していただき9月に病院見学に行き、その雰囲気の良さとテーラーメイドな研修が可能ということからお世話になることを決意しました。
和田先生の「ボストン留学体験記」でも書かれている通り、同じ日本国内とはいえ北海道から沖縄への移動。自分は良くても家族の納得と協力が必要です。単身で行くのか、家族で行くのか、決めないといけません。しかし、妻は趣味がスキューバダイビングということもあり、青い海の沖縄に行くことに特に反対も無く、家族全員で沖縄に行くことは容易に決まりました。子供がまだ未就学だったのも動きやすい要素ではありました。
年が明けて徐々に準備を始めました。北海道から沖縄の引っ越し、引っ越し代金はいくらになるのでしょう。コンテナ1つだけに入るよう家電家具を最小限のみにして業者に見積もりを出してもらいましたが、引っ越しシーズンでもありできるだけ安いプランでも35万円の見積もり。帰ってくるときも考えると、家具は可能な限り現地で買いそろえることにしました。
いよいよ出発!
北海道から沖縄へは飛行機で行けば直行便があるので乗り継ぐことなく4時間ほどで行けますが、我が家はパグを2匹飼っています。短頭種、いわゆる鼻ペチャの犬の飛行機移動は呼吸器系トラブルのリスクが上がります。春は搭乗に制限はかかっていませんが、万が一のことがあろうものなら、後悔しきれません。獣医師でもある我々夫婦(管理人注:定本先生は医師免許とともに獣医師免許も所有)は多少きつくても陸路で行くことに異論はありませんでした。
こうして北海道から沖縄への2,000km以上(google mapのルート検索だと図の通り)の移動を車で行くことにしました。
3月18日/出発(札幌)→茨城(大洗)
前日まで外勤で働いていたため、出発の午前中まで最後の確認と荷物詰めに慌てながら最後は半ば諦めて出発。苫小牧港でフェリーに乗り込むのを車内で待つ間の夕日がきれいで「いよいよ出発かぁ」と感傷に浸りたかったのですが、現実は子供たちが車内でキャーキャーと大騒ぎ。船に乗り込んでからも子供2人、パグ2匹、大量荷物の持ち込みに時間を費やし、さらに子供がお腹を空かしているのですぐに食堂に行きご飯を食べていると、いつの間にか外は真っ暗で、既に出港していました。フェリーって港に停泊していても揺れるものなのですね(海の上だから当たり前なのですが)、船の動き始めに気づきませんでした。
バタバタの状態での北海道からの出発となりましたが、とりあえずは茨城県大洗までの19時間、船の中でのんびりです。