ERC2015(その3)2016.9.6
2015年10月29日から31日までの3日間、チェコのプラハで開催された欧州蘇生学会(European Resuscitation Council)の年次集会に参加してきました。
最後はERCのカリスマ、Nolan先生の酸素と二酸化炭素の話です。

いくつかの観察研究の結果に基づき心停止蘇生後はhypoxia/hyperoxiaを避けてSpO2 94-98%に保つことが推奨されていますが、実際の現場ではなかなかうまく実践できていません。
そこでtitrated oxygen therapyができるかどうかのfeasibility studyが進行中です。
うまく行ってRCTにつながるといいですね。

STEMIに対する病院前酸素投与もAVOID studyで結論が出ましたが、現場に反映されるのはまだまだ時間がかかるのでしょうか。STEMI患者が病院に到着したら酸素を一旦オフにしてみましょう。

hypocapneaは脳血流と酸素供給量を減少させて頭部外傷などのinjured brainに有害であることが有名ですが、一方でhypercapneaは心停止蘇生後患者の良好な予後に関係することを示す観察研究の結果がいくつか報告されています。
そこで、therapeutic hypercapneaの前向き研究が始まっています。
介入群は心拍再開後の24時間をPaCO2 50-55mmHgのtargeted hypercapneaにして、24時間、48時間、72時間後のNESとS-100を調べるそうです。
自分も心停止蘇生後のブタモデルでtargeted hypercapneaの実験をしていたことがあるので(頓挫しましたが)、この辺の話は大変興味があります。

最終日は午後から観光しました。
ボーテルのすぐ近くに出てた市場に向かったところ、救急車が出動していました。
すでに車内収容されていたのか患者さんは見えませんでしたが、しばらく現場に滞在していたので重症ではなかったのでしょうか。

昼食においしくなさそうに売ってるワインとポテトのラクレットチーズがけをいただきました。


レンタカーを借りて遠出しました。
高速道路で大好きなIKEAの看板を発見!急旋回して寄り道しました。
日本では売っていないクリスマスグッズを購入しました。


チェコを代表するピルスナーのひとつ、Budweiser Budvarの醸造所に行きました。
アメリカのバドワイザーが名前を勝手に使用したことで有名なビール工場です。

工場ツアーの最後に蔵出しのビールが飲めました。
プラハで飲んでいたピルスナーは正直札幌で飲めるものと大差がないと思っていましたが、ここのビールは別格でした。

最終目的地はČeský Krumlov。世界で一番美しい町と言われる世界遺産の城下町です。
歩いて15分程度で横断できてしまう小ささですが、中世の街並みを楽しめました。
ERC2015の学会レポートは以上です。留守を守ってもらった大学の皆さん、ありがとうございました。
