北海道大学病院 救命救急センター | 北海道大学大学院医学研究院 侵襲制御医学分野 救急医学教室

〒060-8638
北海道札幌市北区北15条西7丁目
Tel / 011-706-7377 (内線7377)

お問い合わせ

北海道大学病院救急科 ホーム > ISICEM2016レポート(その1)

日々の出来事

ISICEM2016レポート(その1)2016.11.15

2016年3月15日から18日の4日間、ベルギーのブリュッセルで開催されたInternational Symposium on Intensive Care and Emergency Medicine(ISICEM)に参加しました。ISICEMはBelgian Society of Intensive Care and Emergency Medicineが毎年主催している国際学会で、今回で36回目になります。ベルギーということでchairmanはおなじみのJean-Louis Vincent先生です。
いち早くオンラインジャーナルのopen accessを進めてきた医学雑誌Critical Careの年次集会と言えばわかりやすいでしょうか。毎年ブリュッセルの同じ会場で開催されています。私は2012年以来の4年ぶりの参加でした。

(3月14日出国)
成田発の直行便でブリュッセルに向かいました。ブリュッセル空港の到着ロビーでSIMカードが購入できます。兎にも角にもインターネットがなければ旅ができません。データ通信2Gバイトで25ユーロのSIMカードを買いました。

ISICEM2016

私はホテルの狭い部屋が苦手で、安価に広い部屋に泊まることができるアパルトマンをよく選びます。今回は60m2でキッチン、テラス付きの部屋を借りました。ブリュセルの有名な広場グラン・プラスから徒歩2分の立地でした。

ISICEM2016

昼も夜も美しい景観のグラン・プラスの一角にあるGODIVA本店(第1号店)ではイチゴのチョコレートがけが食べられます。これ、大変おいしいのですが日本の店舗では食べられないようです。

ISICEM2016ISICEM2016

(3月15日学会1日目)
朝食は毎朝決まったお店に通いました。前回滞在時に偶然立ち寄った際に激旨のパン・オ・ショコラとチョコレートクリーム(各テーブルに置いてあり自由にパンに塗って食べます)に出会い、以来ブリュッセルの朝食はここと決めています。
ちなみに同じくらいおいしいパン・オ・ショコラを札幌のコロンというパン屋さんで食べることができます。ようするに私がチョコパンを好きなだけです。

ISICEM2016ISICEM2016

学会会場はグラン・プラスから徒歩6分のところにあります。ここの屋内と屋外のテントを合わせて10ヶ所の会場でscientific sessionが行われました。

ISICEM2016ISICEM2016

朝1番で聞いたsessionは「The SOSD phases of fluid therapy」。JL Vincent先生が2013年のNEJMに書いたショックの総説に登場した「Salvage、Optimization、Stabilization、De-escalation」の話ですね。個人的に普段から輸液の話に興味があるのですが、この学会、毎日のように輸液関連のsessionがありとっても楽しめます。結局、4日間を通して輸液とARDSのsessionしか聞きませんでした。sepsisやAKI、心停止蘇生後のところに顔を出す時間はありませんでした。そんなマニア受けする学会構成です。

昼食にブリュセル定番のワッフルを頂きました。油断すると甘いトッピングがてんこ盛りになってしまうので、できるだけシンプルなメニューをオーダーしました。

ISICEM2016

18時からposter sessionが始まりました。exhibition会場の一角に設置された大型のタッチパネルを使ってe-posterをプレゼンしました。今回の発表は日本外傷学会の多施設研究データを用いて外傷患者の輸血目標を検討した研究です。出血して輸血を要する外傷患者の急性期に皆さんは何を目標に輸血しているでしょうか?ヘモグロビン値、血小板数、フィブリノゲン値のそれぞれに目標とされる数字がガイドラインなどで提示されていますが、その根拠となる研究は外傷急性期の患者が除外されていたり、非外傷患者(腹部大動脈瘤破裂、産科出血など)の小規模研究だったり、そもそも「目標値」ではなく「輸血を始めるトリガー値」であり、実は「この値以上になるまで輸血すると外傷患者の予後が改善する」ということを検討した研究は皆無でした。そこで生存退院と関係する24時間後のヘモグロビン値、血小板数、フィブリノゲン値を求める解析を行いました。詳細は日本外傷学会雑誌をご参照下さい。
会場には夕方からワインが提供されており、演者も質問者も座長も皆ワイングラスを片手に参加していました。顔を真っ赤にしたドイツ系?の先生に質問されたときは、ただの酔っぱらいに絡まれている感じがしました。

ISICEM2016

2日目以降は次回へ続きます。