はじめてのかいがいがっかいはっぴょう 板垣先生2017.10.31
1週間オーストリア・ウィーンに滞在し多くの経験をさせていただきました。その間、ICU/病棟で診療にあたってくださった救急科ならびにICUローテーターの先生方、看護師、助手さん、薬剤師さん、皆様有り難うございました。また、このような機会を与えていただいた、論文著者の丸藤教授、和田先生にも感謝を申し上げます。
今回の発表内容は重症単独頭部外傷におけるDICと予後の関連といった内容で、ISS>4の頭部外傷ではDICが独立予後規定因子であるという単施設後ろ向き研究です。丸藤教授に世界を見てきなさいというご高配の元、その発表をしてきたというのが今回の経験でした。
(出国当日)
8:20発の快速エアポートに乗ると決めて眠ったのが午前4時。発表やら渡航の準備で忙しかったんです。目覚めたら、8:03。思わず「嘘だろ」とつぶやきました。それから5分で準備をし、8:11に路上に飛び出し、奇跡的にいたタクシーを捕まえ、なんとか8:18に札幌駅に到着。事なきを得ました。が、JR内で靴がスニーカーであることに気づきました。発表のために10年ぶりにスーツを買ったのに、履いてるのがスニーカーだなんて。
新千歳では出発ロビーに着いた瞬間、呼び出しをくらう始末。もし遅れていたら国際線には絶対に間に合いませんでした。
(ウィーン)
羽田・ミュンヘンと乗り継いでウィーンにやってきました。町は札幌よりも暖かいですが、東京の冬よりは寒い気がしました。交通は地下鉄が4本くらいあって、東西南北縦横無尽です。ちょうど札幌みたいです。治安はかなり良く、ヨーロッパで夜出歩いても全く怖くないというのは驚きです。何かの世界ランキングでは住みたい街1位だったようです。街中心部自体が世界遺産となっているようです。また、ザルツブルクも綺麗な街でした。


(食事)
が、しかし。やっぱり日本が最高だと思います。
ウィンナーシュニッツェルは口にはあまり合いませんでした。最初は良かったんですが。
写真は吉田先生が虚ろな目で料理を見つめる様です。


ホテル・ザッハー。かの有名なザッハー・トルテの発祥の地です。観光客がたくさん並んでおり、日本人もちらほら。土産用のトルテはホテルの前にある小さい箱(従業員にred boxと言われました)みたいな店で売っていました。

(ESICM)
肝心の学会です。今回は前川先生、吉田先生、土田先生の発表が初日にあり、自分は二日目の朝でした。
結局、原稿を暗記することのできなかった私は、手元に文章を用意する始末。ですが、流れやアドリブなどはなんとか織り交ぜた。気になっただけでした。
実際のところ、正直なフィードバックを上級医から受けたわけではありませんが、前川先生からは「うん、普通にできていたよ」と無表情にコメントは頂けました。今度、飲み過ぎた時に本音を聞いてみたいと思います。ちなみに発表はスーツにスニーカーです。最近の世論調査でも話題に上がったようですが、図らずとも時代の先端を走ってしまいました。

入局する前に丸藤教授から言われていたことがありました。「ESICMでは英語を母国語としない多国籍のIntensivistが集まるので、みんな一生懸命発表しているよ。先生も参加して肌で感じてきたら良い。」
教授の言うとおりでした。来年退官される前にこのような機会を与えていただき、本当に有難うございました。
北大は救命救急センターではありませんが、やっていることは何ら変わりません。上級医の先生方の経験や知識から非常に多くの重症症例を経験させていただき、日々新しいことを吸収できています。こんなに充実した勤務ができているとは学部生の頃は全く想像だにしていませんでした。
そんな中で、世界最先端の集中治療を患者に提供するためにも海外学会に出かけて発表でもしようか、という志は非常に重要だと思いました。別に全ての発表を聞けるわけでもないし、英語が全て理解できるわけでもありません。が、刺激を受けます。当たり前のことですが、世界中に重症患者はおり、世界中で24時間ICUは稼働しています。Intensivistが集う学会に参加するのは、異種格闘技戦のようでもありましたし、逆に一種の同好会みたいな趣もあって、今後のキャリアを考える上で、集中治療というものに対してより真摯に向き合えるような気持ちで一杯になりました。いつか、自分の疑問を統計学的に解決し、胸を張って発表してみたいものです。きっと景色が違って見えるのだろうと思います。