北海道大学病院 救命救急センター | 北海道大学大学院医学研究院 侵襲制御医学分野 救急医学教室

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松本先生の留学体験記(その3)2025.12.3

「世の中には、なぜこうも体外循環を必要とするショックの人がいるのであろうか。」と、不思議に思うくらい済生会宇都宮病院では循環補助のための機械サポートを必要とするショックの患者が搬送されます。
もちろん、「この人に適応あるのか?」と思われる患者もいるにはいますが、救命第一を考えれば、ADLが良ければ年齢制限はあまり考えずに導入するのが済生会流です。60万人の人口に対して、1つの3次救命センターであり、常に全力投球を行うと、年70台のVA-ECMO導入となります。
また、VVーECMOに関しては、栃木県内外でECMOセンターとして有名になっていることもあり年間20件ほどの相談と症例があります。このように済生会は年間約100例のECMO症例が集まるECMOセンターです。

ECMOに関しては、ただ導入するだけではありません、合併症の予防や万が一発生した時の早期対応はもちろん、ECMOを「見る」ではなくECMOを「診る」ために必要な訓練が日々行われています。ECMOのSpecialistである上司から、「お前はまだまだECMO watcherだな笑笑」と言われたのは今でも忘れません。2年間勉強し、それなりに「診る」ことができるようになった気はしますが、まだ上司の足元にも及んでいないと思っています。
ただその訓練の経過で、上司のご厚意でECMO netのインストラクターへの道を開いていただけました。コロナ禍で多くの講習会を行なったECMO netの講習会が現在も年数回行われています。その場でアシスタントインストラクターとして活躍する場を作っていただき、自分の知識をアウトプットすることでより確実なものにすることができた貴重な経験となりました。画像は「シュミレーション」の「シュミレーション」です。見て分かるように、かなりリアルを追求したものになっています。

シュミレーション

画像はECMO患者の手術中の画像です。もちろん麻酔科医が麻酔をかけていますが、CPBの麻酔とECMOの麻酔は違います。そのため、手術中のECMO管理だけではなく、人工呼吸器の設定に関してもこちらから提案することもあります。

ECMO患者の手術 ECMO患者の手術

もちろん、ECMOをひたすら導入しているだけの施設ではありません。外傷診療なども、救急医として外科や放射線科に治療を依頼する際にも、完全お任せスタイルではなく治療方針の提案アドバイスを、外傷診療のプロとして立ち回るのが済生会救急医です。
開腹なのかIVRなのか決めるのは救急医です。開腹なら閉腹するのか開腹のままICUに入室させるのか外科へ依頼するのも救急医の仕事です。IVRであれば塞栓物質を選択するのも救急医の仕事です。放射線科が手技を終了しようとするときに、予防的にこちらにも塞栓を!!と頼むこともあります。
このように救急医として全ての分野でスキルアップできる環境が宇都宮にはありました。こんな環境で1年半揉まれていたある日、今後の人生を左右する大きなイベントが起こるのでした。

済生会勤務を始めて1年半ほど経過したある日、突然上司に呼び出されました。
「ECMO留学してみない?」
突然の話すぎて、頭の中は真っ白でしたが、「断るとおそらく今後この様なチャンスは2度とこない!」と思い、「行きたいです」と答えました。ただし、この時点では、教授への許可はもちろんのこと、妻や家族の許可も取らずに上司に行きたいと返事しています笑

元々半年のECMO研修期間でしたが、いつの間にか1年に、そしてもう2年に延長。そして今度は海外?なぜかどんどん延長に延長が重なっています。ここから済生会の上司と、和田教授をどういうふうに説得するのかの緻密な作戦会議が始まるのでした笑