ECPRシミュレーション研修2019.12.5
遅くなりましたが、9月に仙台で開催されたECMO講習会に参加してきましたのでご報告します。
ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation)は重症循環不全・呼吸不全に対して用いられる、膜型人工肺を用いた体外式循環回路です。循環維持困難な心原性ショックや閉塞性ショックに加え、難治性VFを中心とした心肺停止患者の蘇生法(ECPR)としても用いられ、当科でも適応患者には積極的に導入を行っています。平成29年の統計によれば、わが国で発生した院外心停止およそ127,018例のうち、一般市民による発症目撃のあった心原性心停止症例は20.1%(25,538人)で、そのうち1ヶ月後生存率、社会復帰率はそれぞれ13.5%(3,444人)、8.7%(2,232人)でした。
ECPRはこのような、生存・社会復帰ともに期待できる(若年、初期波形がshockableであるなど)院外心停止症例に行われる体外循環式心肺蘇生で、胸骨圧迫を継続しながら大腿動静脈へカテーテルを挿入する技術が必要となるため、決して簡単なものではありません。しかし適切な蘇生により救命・社会復帰できる心停止症例を救うためにも、今回のような講習会を通じて知識・技術ともに磨きをかけておくことは非常に重要であると考えます。
講習会は仙台で、筆者を含む専攻医3名と救急看護師2名、臨床工学技士2名の7名1チームで参加してきました。
講習会は、プライミングの方法から始まり、エコーガイド下カニュレーション、急性心不全、重症肺塞栓、ECPR、呼吸不全に対するVV-ECMOなどのシナリオを用いたシュミレーションなど多岐にわたりました。我々チーム北大と一緒に受講していたのは千葉北総救命の皆様で、1日の講習を通じて自施設と他施設の違いを知ることができたのも非常に良かったと思います。
看護師さんもカニュレーション体験をしました。我々医師も、普段行わないプライミングなどもじっくり体験することができ、非常に勉強になったと思います。
今回の講習を通じて学んだことを日々に診療に還元できるよう精進していきたいと思います。
高橋悠希