Wada T et al. J Inflamm (Lond). 2013; 10: 62013.7.25

The role of angiogenic factors and their soluble receptors in acute lung injury (ALI)/ acute respiratory distress syndrome (ARDS) associated with critical illness.
Wada T, Jesmin S, Gando S, Yanagida Y, Mizugaki A, Sultana SN, Zaedi S, Yokota H.
J Inflamm (Lond). 2013 Feb 11;10(1):6.
doi: 10.1186/1476-9255-10-6.
PMID: 23394254
論文へのリンク(外部サイト)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23394254
http://www.journal-inflammation.com/content/pdf/1476-9255-10-6.pdf
著者コメント
生体侵襲と血管新生関連因子(Ang2)の関連を探索した3部作の3つ目の論文です。以前の論文とともにお読みください。
論文要旨
vascular endothelial growth factor(VEGF)やAngiopoietin(Ang)などの血管新生関連因子は、悪性腫瘍の進展や循環器領域における側副血行路の発達において重要な役割を果たす因子として研究が進められてきたが、近年敗血症病態とこれらの因子の関係に関する報告が散見されるようになってきた。我々は、救急集中治療領域で扱う重要な疾患、病態であり3大生体侵襲とも評される、敗血症、重症外傷、心停止後症候群(post-cardiac arrest syndrome; PCAS)それぞれに合併する播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation)、臓器不全と血管新生関連因子の関連、特にAng2の関与に関する報告を行ってきた(Wada T, et al. Crit Care 2012, 16:R63, Wada T, et al. Crit Care 2012, 16:R171, J Subrina, T. Wada, et al. Inflammation 2012, 35:484-500). 今回、それら3生体侵襲に合併する急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome)における血管新生関連因子の関与に関する検討を行ったところ、Ang2に高値とsVEGFR2の低値がARDSの発症、またARDS患者の死亡に強く関わっているという結果が得られた。Ang2に関しては、我々の、また他の過去報告結果に合致するものであった。また、sVEGFR2に関しては、ARDSにおける同因子の関与を示した初めての報告である。これらの結果は、血管新生関連因子がARDSをはじめとする重症炎症病態に対する新しい治療標的となりうる可能性を示唆するものと考えられる。