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Ono Y, Resuscitation. 2017 Feb;111:62-67.2017.4.12

photo小野

Fibrin/fibrinogen degradation products (FDP) at hospital admission predict neurological outcomes in out-of-hospital cardiac arrest patients.
Ono Y, Hayakawa M, Maekawa K, Kodate A, Sadamoto Y, Tominaga N, Murakami H, Yoshida T, Katabami K, Wada T, Sageshima H, Sawamura A, Gando S.
Resuscitation. 2017 Feb;111:62-67.
doi: 10.1016/j.resuscitation.2016.11.017.
PMID: 27940211

論文へのリンク(外部サイト)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27940211
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0300957216305603

著者コメント

院外心肺停止ネタ第4段の論文です。私の北大での最後の論文となりました。心停止蘇生後症候群(PCAS)はsepsis-like syndromeとも表現され病態がよく類似していると言われます。であればsepsisでよく遭遇するseptic DICという凝固線溶異常と類似した病態がPCAS患者にも起こりそれが予後の予測因子となるのではないかという仮定から今回の観察研究に至りました。
とりあえず全て凝固線溶系データを集めて統計にかけてみましたが、FDPが予測因子としてなかなか使えそうな結果が得られました。しかも驚くべきことに過去に報告されている乳酸値よりも良さそうな結果になりました。

論文要旨

【目的】院外心肺停止患者の病院到着時の凝固、線溶系マーカー、DICスコアが一ヶ月後の神経学的予後を予測できるか検討する。
【方法】後ろ向き観察研究、札幌ウツタインデータと診療録を使用。2006年〜2012年の間に北大病院へ搬送されROSCに成功した院外心肺停止患者を対象とした。凝固線溶マーカーとしては血小板、PT、APTT、フィブリノゲン、dダイマー、FDP、AT-Ⅲ、DICスコアを使用。CPC1-2を神経学的予後良好とした。
【結果】315人の患者を分析した。フィブリノゲン以外の全てのマーカーが神経学的予後と優位に相関した。さらにROC曲線ではFDPが最もAUCが大きい値(0.795)を示した。これは乳酸値よりも大きな値であった。
【結論】ROSCに成功した院外心肺停止患者では来院時のFDPが最も神経学的予後良好と相関していた。