Nakahashi S. Anaesth Intensive Care. 2014 42:138-40.2014.6.30
APRV in patients with atelectasis after liver transplantation.
Nakahashi S, Furukawa H, Shimamura T, Todo S, Gando S.
Anaesth Intensive Care. 2014 Jan;42(1):138-40.
PMID: 24471678
論文へのリンク(外部サイト)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24471678
http://www.aaic.net.au/Issue/?V=42&I=1&T=C
著者コメント
Airway pressure release ventilation (APRV)は無気肺開通に有用な人工呼吸器のモードです。しかしAPRVの、人工呼吸中の生体肝移植後患者に生じた無気肺に対する有用性は、これまで未確認です。そこで本研究は生体肝移植後無気肺に対するAPRVの効果を、historical controlを用いて検討しました。懸念される副作用として肝血流への影響も併せて調査しました。
論文要旨
【目的】本研究の目的は、人工呼吸管理中の、生体肝移植後無気肺に対するAPRVの効果を検討することである。
【対象と方法】北海道大学病院集中治療室での後向き研究。期間中(2003年-2008年)、生体肝移植後無気肺(人工呼吸管理下)を発症した36例を対象とした。無気肺に対する方策として人工呼吸管理にAPRVモードを使用した9例に対し、基礎背景に差が無く、人工呼吸管理にsynchronized intermittent mandatory ventilation(SIMV)モードを使用した27例をhistorical matched-control subjectsとして選択し、両群間で比較検討した。
【結果】過剰な気道内圧を回避するよう設定したAPRVは有意に無気肺を改善した(無気肺スコア: 3.2±2.0 vs. 0.4±0.7, P<0.01) (CTでの無気肺/全肺野面積比: 16.1±9.1% vs. 3.1±2.8%, P<0.01)。無気肺改善に伴ってP/F比も改善したが、アウトカム(人工呼吸期間、ICU期間)は統計学的有意差を認めなかった。門脈血流量、RI値:resistive index、及び超音波エコー検査における肝静脈波形の有意な変化は、APRV実施前後で認めなかった。
【結語】APRVは、肝血流を冒す事無く、生体肝移植後無気肺を改善した。