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本間多恵子 ICUとCCU 2016 40巻: 61-652016.4.11

急性一酸化炭素中毒に対する高気圧酸素治療経験
本間多恵子, 柳田雄一郎, 石川岳彦, 森本裕二, 石川勝清, 丸藤哲
ICUとCCU 2016 40巻: 61-65
医中誌ID:2016090458

論文へのリンク(外部サイト)

http://mol.medicalonline.jp/library/archive/search?jo=aa6icutc&ye=2016&vo=40&issue=1&UserID=133.87.97.112

著者コメント

急性の一酸化炭素中毒患者では遷延性の意識障害や遅発性の精神神経症状が発現し、これらに対して高気圧酸素療法(HBOT)が施行されています。しかし、HBOTの適応やその方法、効果についてはいまだ議論が多い状態です。当院ではWeaverらの2002年の報告に基づいてHBOTを施行しています。

論文要旨

【背景】急性一酸化炭素(CO)中毒では遷延性意識障害や遅発性精神神経症の発症予防に高気圧酸素療法(HBOT)が施行される。
【目的】当院で過去9年間に搬入されたCO中毒症例に対するHBOTの治療経験を報告する。
【対象】2003年から2012年に搬入された113例の急性CO中毒患者のうち、詳細な病歴が確認できる78例を対象とした。
【方法と結果】第2種装置を用いて、初回HBOTは受傷から24時間以内、2,3回目は受傷後36時間以内に施行した。今回の症例では搬入時の意識レベルの重症化に伴い回復率が低下した。しかし、HBOTを3回施行し、神経学的異常所見を残さず帰宅するも後に遅発性神経症を発症した例もあれば、HBOT未施行でもJCSⅢから遷延性意識障害を残さず退院、遅発性神経症を発症しなかった症例も認められた。
【結語】今回の報告ではWeaverらの報告に準じてHBOTを施行することを否定する証左は認められなかった。しかし、CO中毒に対するHBOTの適応患者、施行方法、施行時期を明確に定義するためにはさらなる症例の集積と過去たる診療体制の確立が必要である。