Hayakawa M. Shock. 2013; 39: 514-9.2013.9.11
Massive amounts of tissue factor induce fibrinogenolysis without tissue hypoperfusion in rats.
Hayakawa M, Gando S, Ieko M, Honma Y, Homma T, Yanagida Y, Kubota N, Uegaki S, Sawamura A, Asakura H.
Shock. 2013 Jun;39(6):514-9.
doi: 10.1097/SHK.0b013e318293980d.
PMID: 23542400
論文へのリンク(外部サイト)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23542400
http://journals.lww.com/shockjournal/pages/articleviewer.aspx?year=2013&issue=06000&article=00008&type=abstract
著者コメント
臨床論文はそれなりに書いてきましたが、これは初めての基礎実験の論文です。テーマ選定や実験方法など、多くの先生方の助けを借りながらも、自分の思うように実施した実験の結果です。
内容は、頭部外傷などのショックを伴わない鈍的外傷における線溶亢進の病態生理を示した内容となっています。
論文要旨
【背景】重症外傷におけるsystemic circulationへの組織因子(tissue factor, TF)の放出は外傷直後のDICの重要な一因である。しかし、組織因子と線溶亢進(フィブリン分解の更新やフィブリノーゲン分解の亢進)との関係は明らかではない。
【方法】9週齢のラットをTFの投与量により0U/kg、4U/kg、16U/kgの3群(各6匹)に分けた。麻酔下に、右頚静脈(TF投与ルート)と左大腿動脈(動脈圧モニタリング・採血ルート)にカニュレーションを行った。設定のTFを4時間かけて投与しつつ、0、2、4時間目に経時的に採血を行った。
【結果】各グループとも経過中、低血圧や血清乳酸値の上昇は認めなかった。TFの投与量に依存して、血小板数や凝固/線溶系の検査値は悪化していた。α2-プラスミンインヒビター値は各グループとも著しく低下し、フィブリノゲン分解産物(FgDP)が増加していた(図)。プラスミン-α2-プラスミンインヒビター複合体は著しく上昇していた。
【結語】大量のTFは組織低灌流とは関係なく、フィブリノゲン分解とフィブリン分解を引き起こしていると考えられる。α2-プラスミンインヒビターの低下とプラスミン濃度の著しい上昇が、フィブリノゲン分解とフィブリン分解の亢進の中心的な原因である。