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北海道大学病院救急科 ホーム > Takahashi M, Kondo T, Kimura S, Nakazono A, Yoshida S, Wada T, Watanabe M, Hatakeyama S. J. Biomed. Sci. 32: 88-88, 2025.

業績紹介

Takahashi M, Kondo T, Kimura S, Nakazono A, Yoshida S, Wada T, Watanabe M, Hatakeyama S. J. Biomed. Sci. 32: 88-88, 2025.2025.9.27

photo高橋正樹

PPM1D is directly degraded by proteasomes in a ubiquitination-independent manner through its carboxyl-terminal region.
Takahashi M, Kondo T, Kimura S, Nakazono A, Yoshida S, Wada T, Watanabe M, Hatakeyama S.
J. Biomed. Sci. 32: 88-88, 2025.
DOI: 10.1186/s12929-025-01185-z

論文へのリンク(外部サイト)

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40931354/
https://jbiomedsci.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12929-025-01185-z

著者コメント

大学院生として2022年より取り組んできた研究を、このたび論文として報告することができました。本研究は医化学教室でのテーマであり、畠山鎮次教授、渡部昌先生の全面的なご指導とご支援のもと、分子生物学の実験スキルを基礎から学びつつ進めてまいりました。研究対象は、これまで自分が取り組んできた分野とは大きく異なる「タンパク質の分解経路」でしたが、新たな視点を得るとともに、他分野への応用可能性を見出すことができました。研究成果については高く評価していただき、北海道大学からのプレスリリースとして公表される機会にも恵まれました。
この場をお借りして、ご指導くださった医化学教室の先生方、そして研究時間の確保にご理解とご協力をいただいた救急医学教室の皆様に、心より感謝申し上げます。

論文要旨

がんドライバー遺伝子であるPPM1Dは、がん抑制因子p53を抑える作用を持ち、過剰に存在すると腫瘍の進展や治療抵抗性を助長することが知られている。しかし、その分解機構は十分に解明されていなかった。本研究では、複数のがん細胞や精製タンパク質を用いた解析により、PPM1Dがユビキチンを介さず、直接プロテアソームによって分解される新たな経路が存在することを明らかにした。さらに、この過程を促進する因子としてPSMD14およびPSME3を特定した。PPM1Dが複数の経路によって精緻に分解制御されていることは、細胞が損傷修復に迅速に対応する仕組みを支える一方で、その制御の破綻ががん化につながる可能性を示唆するものである。加えて、薬剤実験においてプロテアソーム阻害薬とPPM1D阻害薬を併用すると、薬剤耐性を示すがん細胞の増殖も強力に抑制できることを明らかにした。以上の成果は、PPM1Dを標的とした新たながん治療戦略の可能性を示すとともに、細胞内タンパク質制御に関する理解を深める重要な知見である。