Tsuchida T, et al. Acute Med Surg. 11(1):e950. 2024 Apr 17.2024.4.29

Efficacy of antithrombin administration for patients with sepsis: A systematic review, meta-analysis, and meta-regression
Tsuchida T, Makino Y, Wada T, Ushio N, Totoki T, Fujie N, Yasuo S, Matsuoka T, Koami H, Yamakawa K, Iba T.
Acute Med Surg. 2024 Apr 17;11(1):e950.
DOI: 10.1002/ams2.950
PMID: 38638892
論文へのリンク(外部サイト)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38638892/
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ams2.950
著者コメント
敗血症患者に対するアンチトロンビン(AT)投与に関する総説です。初めてメタアナリシスを行ったこともあり、出版されるまでに大変な苦労がありました。しかし、今回も和田先生をはじめとした優秀な先生方の手厚いサポートがあり何とか形にすることができました。システマティックレビューやメタ解析論文を読む機会は多かったのですが、今回の執筆を通してさらに理解が深まりました。また、第一線でご活躍されている全国の先生方とお仕事をさせていただくことでいい刺激をたくさん頂けました。日頃の診療の中でメタ解析してみたいテーマが見つかったら、またチャレンジしてみたいと思います。
論文要旨
ATを投与された成人敗血症患者に関するランダム化比較試験(RCT)および観察研究を対象としたシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。また、ATの投与量についてメタ回帰分析を行った。アウトカムは全死因死亡率および重篤な出血性合併症とした。
本研究では7件のRCTと6件の観察研究が組み入れられた。対象患者は、RCTでは重症敗血症、観察研究では敗血症性DICがほとんどであった。RCTを対象としたメタ解析では、AT群と対照群の死亡率に有意差は認められなかった。しかし、観察研究を対象としたメタ解析では、AT投与により死亡率が低下する傾向が示された(OR、0.79;95%CI、0.68-0.92;p = 0.002)。出血性合併症は対照群よりAT群で有意に高かった(OR、1.90;95%CI、1.52-2.37;p<0.01)。メタ回帰分析ではAT投与量と死亡率の間に相関はみられなかった。
RCTのメタ解析ではATの生存率改善効果は確認されなかった。一方で、観察研究では転帰改善に対する優位な効果が示された。これは、対象患者の違いによる影響が大きいと考えられ、AT投与の対象は敗血症性DICなどの重症患者に行うべきである可能性が改めて示唆された。