Tsuchida T, Hayakawa M, Kumano O. Sci Rep. 31;14(1):7602. 2024 Mar 31.2024.4.10

Comparison of results obtained using clot-fibrinolysis waveform analysis and global fibrinolysis capacity assay with rotational thromboelastography.
Takumi Tsuchida, Mineji Hayakawa, Osamu Kumano.
Sci Rep. 2024 Mar 31;14(1):7602
DOI: 10.1038/s41598-024-58436-6
PMID: 38556522
論文へのリンク(外部サイト)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38556522/
https://www.nature.com/articles/s41598-024-58436-6
著者コメント
前回に引き続き、global fibrinolysis assayに関する研究です。救急の臨床現場においてglobal fibrinolysis assayが普及しているとは言えませんが、包括的に凝固線溶の状態を把握できる有用な検査です。今後も多くのエビデンスが蓄積され、臨床現場で迅速かつ適切に患者さんの凝固線溶障害を評価できる環境になることを期待しています。今回も早川先生ならびに産業技術総合研究所の熊野様にご指導いただき、このような形にまとめることができました。今回もありがとうございました。
論文要旨
包括的線溶活性測定法として、clot-fibrinolysis waveform analysis (CFWA)とglobal fibrinolysis capacity (GFC)が最近開発された。本研究では、tPAを添加した健常ドナー血漿検体の線溶時間に関して、CFWAとGFCを古典的測定法であるROTEMとの比較によって相違を明らかにすることを目的とした。
健常ドナー血漿検体を、tPAを添加した濃度に基づいて0、100、500、1000ng/mLの4群に分けた。CFWAおよびGFCのアッセイにおける線溶時間は、それぞれCFWA-LysおよびGFC-Lysとした。CFWA-LysではtPA濃度が0と500/1000ng/mLの間に、GFC-Lysでは0と100/500/1000ng/mLの間に統計学的有意差が認められた。ROTEMにおけるEXTEMおよびINTEMの溶解開始時間との相関係数は、CFWA-Lysでそれぞれ0.610および0.590、GFC-Lysで0.939および0.928であり統計学的に有意であった。いずれのアッセイもROTEMと有意な相関を示したが、GFCはCFWAに比べてROTEMとの一致度が高いことが証明された。これらの測定法は、高濃度のtPAによる線溶亢進状態を反映する可能性がある。