北海道大学病院 救急科 | 北海道大学 大学院医学研究科 侵襲制御医学講座 救急医学分野

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北海道大学病院救急科 ホーム > Tsuchida T, et al. Thromb J. 2022 May 18;20(1):29. doi: 10.1186/s12959-022-00388-w.

業績紹介

Tsuchida T, et al. Thromb J. 2022 May 18;20(1):29. doi: 10.1186/s12959-022-00388-w.2022.6.4

photo土田

Thrombin generation capacity is enhanced by low antithrombin activity and depends on the activity of the related coagulation factors.
Tsuchida T, Hayakawa M, Kawahara S, Kumano O.
Thromb J. 2022 May 18;20(1):29.
doi: 10.1186/s12959-022-00388-w.
PMID: 35585586; PMCID: PMC9116075.

論文へのリンク(外部サイト)

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35585586/
https://thrombosisjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12959-022-00388-w

著者コメント

皆様はアンチトロンビン(AT)欠乏に対する補充療法に際して、その根拠や指標はありますか?
ATに限らず、日常診療では臨床医の経験で薬剤投与の開始や終了が決められることは少なくないと思います。本研究の臨床的な目的は、AT補充療法の適応や投与方法に関する一つのエビデンスを提供することでした。今回はAT濃度を調製した血漿検体に対してトロンビン生成試験を行い、AT補充のin vitroにおける効果やATと他の凝固因子との関係について詳細に検討しました。その結果、AT補充療法のタイミングや臓器不全の発現メカニズムといった臨床の疑問点が今回の基礎実験により説明可能となり、大変興味深い内容になりました。本研究ではシスメックスの熊野さんに様々な測定結果や解析結果を教えていただき大変勉強になりました。また、早川先生には厳冬期に遠方の施設までご足労いただき、査読者に指摘された追加実験を施行していただきました。この場をお借りして御礼を申し上げます。ありがとうございました。

論文要旨

AT活性1%未満のAT欠乏血漿と正常血漿を混和して、AT活性が100、90、70、50、40、30、10、5、<1%に調整した血漿検体を作製し、トロンビン生成試験を実施した。また、AT欠乏血漿、正常血漿、ベロナール緩衝液を混合し、AT活性30%固定下でかつPT%(理論値)を100、66、50、40、30%に調製した試料を作製し、同じくトロンビン生成試験を実施した。
その結果、AT活性が50%以下ではトロンビン生成量が大幅に増加し、ATがトロンビン生成を抑制していることがわかった。特に、AT活性30%未満ではトロンビン生成が顕著であり、血栓傾向から生じる臓器不全によって予後不良となり得ることがin vitroの試験結果から推測された。本研究によりAT活性30〜50%が臨床的な境界とされるメカニズムが解明された。