Tsuchida T, et al. Scand J Trauma Resusc Emerg Med. 2021 Aug 14; 29: 1172021.8.19
新たに土田先生から2本目の論文が公表され、PubMedにも収載されました。
Simultaneous external validation of various cardiac arrest prognostic scores: a single-center retrospective study
Takumi Tsuchida, Kota Ono, Kunihiko Maekawa, Takeshi Wada, Kenichi Katabami, Tomonao Yoshida and Mineji Hayakawa
Scand J Trauma Resusc Emerg Med 29, 117 (2021).
doi: 10.1186/s13049-021-00935-w
PMID: 34391466
論文へのリンク(外部サイト)
https://sjtrem.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13049-021-00935-w
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34391466/
著者コメント
院外心停止患者の予後の予測には、2006年に発表されたOHCA scoreが使用されてきた。以後、心停止治療の進歩に伴い予後予測スコアも時代に合わせて様々なものが開発された。しかし、同じ患者群を用いて各スコアの優劣を研究した研究は少なく、どのスコアが優れているのかは判然としていなかった。今回我々は当院の患者記録を用いて、今まで発表された5つの心停止スコア(OHCA、CAHP、NULL-PLEASE、CAST、rCAST スコア)について同時検証を行った。この研究から得られた結果は、当サイト内にあるシステムに反映されており、必要な情報を入力すると、各スコアの得点と予後不良確率を算出できる。簡便な入力で様々なスコアによる結果を同時に確認できるため、予後の推定が必要な場合には有用と思われます。ぜひご活用ください。
論文要旨
成人の院外心停止患者189人のデータを用いて5つの心停止スコア(OHCA、CAHP、NULL-PLEASE、CAST、rCAST スコア)を算出し同時検証を行った。各スコアの予後予測の精度をROC曲線の曲線下面積により評価した結果、各スコアの予測能力に統計学的な有意差は無かった。患者を心停止目撃無し、体温管理療法有り/無し、VA-ECMO使用無し、65歳以下の群に分けてサブグループ解析を行うと、スコア開発時(原著)の対象ではなかった患者が含まれた場合に精度が低下した(目撃のない心停止患者では、CAHPとOHCAスコアは計算不能)。NULL-PLEASEスコアは、もともと全ての院外心停止患者を対象として考案されたスコアであり、患者背景に関わらず精度が高かった。その計算に使用される変数も臨床現場で簡単に収集できるもののみであるため、NULL-PLEASEスコアの有用性は高いと考えられた。