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新津 宥太, 土田 拓見, 他. 日救急医会誌. 2024;35:943-522025.1.10
カテコラミン製剤のシリンジ交換方法が患者の血圧変動に与える影響:単施設後方視的研究
新津 宥太, 土田 拓見, 佐藤 隆太, 新宅 珠奈, 岩佐 幸一.
日本救急医学会雑誌. 2024;35:943-52
DOI: 10.1002/jja2.12931
論文へのリンク(外部サイト)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jja2.12931
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1002/jja2.12931
著者コメント
この研究は、看護師の新津さんを中心に行われた看護研究内容を論文化したものです。集中治療の際にはカテコラミンシリンジ交換が頻繁に行われますが、その交換方法は実施看護師や施設により異なっています。シリンジ交換方法についての本邦からの報告は少なく、症例数が多い比較研究はありませんでした。今回、カテコラミンシリンジ交換に関する一つのエビデンスを日本語媒体で発表することができました。本研究内容が、日本全国の看護師をはじめとする集中治療従事者の参考となれば幸いです。
私は以前より、看護研究の質の高さや、看護研究にかける看護師の努力を目の当たりにしておりました。しかし、その成果は注目されずに埋もれてしまうことが少なくありません。今回、看護師たちの努力の結晶を一つの成果として残せたことに、大きな喜びを感じています。当センターには優秀な医療従事者が数多く在籍しているため、これからも職種の垣根を越えた研究にも積極的に取り組んでいきたいと思います。
論文要旨
【目的】ICU患者におけるカテコラミンシリンジ交換方法が血圧変動に及ぼす影響を明らかにすること。【対象】2020年度と2021年度に当院で行ったカテコラミン製剤のシリンジ交換308回(患者数119名)を対象とし,並列交換群とクイック交換群を傾向スコアマッチングを用いて比較した。また,シリンジ交換時の血圧変動におけるリスク因子をロジスティック回帰分析により調査した。【結果】シリンジ交換後15分までの血圧の変動係数や絶対値は両群で有意差がなかった。ロジスティック回帰分析では,年齢がシリンジ交換時の血圧変動に対する唯一の危険因子であり,シリンジ交換方法は血圧変動に寄与しなかった。【結語】カテコラミン製剤のシリンジ交換において,並列交換法とクイック交換法の違いは血圧変動に影響しなかったが,年齢は血圧変動に対するリスク因子と考えられた。