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業績紹介

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和田剛志, INTENSIVIST 2018年1月号 PICS 集中治療後症候群 Part 2 PICSの危険因子

ICUケア・環境とPICS:環境因子と治療介入因子の調整によるPICS予防

photo和田
論文へのリンク(外部サイト)

https://www.medsi.co.jp/books/products/detail.php?product_id=3605

著者コメント

ICU治療を経験した患者の「長期予後」が注目されてきています。ICU退室後の患者の3分の1が6か月以内に死亡し、3分の1が何かしらの障害を残し不自由な生活を強いられています。重症患者救命のために不可避な医療行為、ICU環境が、運動機能障害,精神障害,認知機能障害を引き起こしICU退室後の死亡率上昇やQOL低下につながっているということが近年知られるようになり、2010年にpost-intensive care syndrome (PICS)という新しい概念が提唱されました。日本では2016年に発表された「日本版敗血症診療ガイドライン2016」で世界に先駆けてPICSの関する記載が盛り込まれており関心が高まっています。この領域をリードする東海大学の井上茂亮先生らが中心となり本邦初のPICSの教科書が企画され、その中の「ICUケア・環境とPICS」という項を担当させていただきました。ICUでの治療、環境がすべて「治療介入因子」としてPICS発症のリスクとなり得ますが、それらは救命のために行われる治療行為であるためすべてを取り除くことは現実的に不可能ですが、本文最後にも記載したように、過去の慣習に固執し, 医療従事者自らがPICS発症の「治療介入因子」となることは避けなくてはいけません。

論文要旨

重症患者救命のために発展してきた近代ICUの環境は, 結果的にアラーム音やスタッフ, 家族の声など患者にとっての「雑音」を増強させ, 自然との繋がりを欠く病室となり「環境因子」としてPICS発症に深く関与する. 同様に, 人工呼吸や補助循環, 血液浄化などの侵襲的処置のみならずカテーテルや鎮静薬に代表される各種薬剤など行われるすべての治療, およびそれに関わる処置や合併症などすべてが「治療介入因子」となり得る. PICSとこれら医原性要因の関連を理解し, 各施設にあったICU環境の設備, およびABCDEバンドル活用, 代替可能な低侵襲治療への転換など患者の病態に応じた医原性要因の調整が人工呼吸器早期離脱, ICU早期退室, せん妄発症予防などを介してPICS発症予防につながることが期待される.